ファンの期待を超え続ける。ゲーム事業本部長として、信頼を未来へつなぐ

2025年10月1日、グリーホールディングス株式会社 ゲーム事業本部長に、株式会社WFS(以下、WFS) 代表取締役社長の柳原 陽太さんが就任されました。ゲーム事業のさらなる成長と革新に向け、どんな未来図を描いていくのか。柳原さんのこれまでのキャリアや現在考えているビジョン、意気込みをお届けします。

柳原 陽太:グリーホールディングス株式会社 上級執行役員 ゲーム事業本部長(2025年10月1日付けで就任)
2012年 新卒でグリー株式会社(現:グリーホールディングス株式会社)入社。アナリストとしてデータ分析やマーケティング、経営企画などを経てゲームプランナーとして株式会社WFSの前身であるWright Flyer Studios事業本部に異動。ディレクター、プロデューサー、ゲーム事業部の部長を経験し、2021年10月1日、株式会社WFS 代表取締役社長に就任。同社コンテンツ事業全体を統括。

アナリストから始まり、WFSの代表取締役社長へ。グリーグループでの歩み

ーー柳原さんが、今回の就任の話をお聞きになった時の気持ちを伺えますか。



柳原:非常に驚いたのと同時に、「直接ゲームづくりに関わる時間が減っちゃうなぁ」というのが、最初に思ったことです(笑)。現場にいながら責任範囲を広げてきて、開発の解像度が高いという自分の強みを生かした経営スタイルを意識してきたこともあり、そこを失いたくないという気持ちもありました。とはいえ、選任いただいたからには期待に応えたいですし、頑張るしかないという気持ちです。

ーーグリーグループには2012年に新卒で入社されていますね。入社されてからのキャリアを改めて伺えますか。



柳原:初めはデータ分析系の仕事が中心で、マーケティングにも携わるようになり、株式会社Wright Flyer Studios(現:株式会社WFS)の『消滅都市』のテレビCMなど、プロモーションにも関わっていました。2014~2015年頃には経営企画部でアメリカ拠点の再編成に携わったり、グループの取締役会などに出席させていただいたりするようになりました。その後、「僕も一つゲームを作ってみたいです」と直談判してWright Flyer Studiosに移籍し、開発ディレクターを経て部長・本部長を務め、2021年10月にWFSの代表取締役社長に就任しました。

ーーWFSの代表取締役社長に就任された当時のことで、印象に残っていることはありますか?



柳原:いろいろありますが、WFSでの最初の仕事が、『転生したらスライムだった件 魔王と竜の建国譚』(配信:株式会社バンダイナムコエンターテインメント)と『ヘブンバーンズレッド』をリリースすることでした。当時は新生WFSの立ち上げのタイミングで、自分たちで決めた方向性に対してグループ内を納得させることがすんなりといかずに苦労したのですが、プロダクトの力を信じてやり切ったことは思い出深いですね。結果的に、どちらも無事にリリースできて多くのユーザーさまに楽しんでいただいて。

ゲームが育んだ言語とアイデンティティ、オタクとしての原点

ーーそもそも、柳原さんが「ゲーム」に興味を持った背景を教えていただけますでしょうか?



柳原:僕がこれほどまでにゲームに熱中する背景には、幼少期の強烈な原体験があります。グリーグループに入社するまでの二十数年間をイギリスで過ごしたのですが、実は、日本語を覚えるきっかけとなったのが、5〜6歳の頃にプレイした日本語版のゲームソフトなんです。当時の僕は漢字が読めず、最初に触れたゲームは途中で挫折してしまいました。しかし、ストーリーの続きがどうしても気になり、両親に頼んで現地の日本語学校に通わせてもらったんです。ゲームのために日本語を学んだと言っても過言ではありません。特に好きだったゲームでは、ゲーム内での体験に非常に驚かされ、キャラクターへの強い感情移入、愛情を自覚するきっかけにもなりました。
思春期には、自分は純粋な日本人でもイギリス人でもなく「自分は何者なんだろう?」と自問自答することも多くあったのですが、これを救ってくれたのもまたゲームでした。当時ネットゲームにも触れていて、オンラインとなると自分の出自はまったく関係ないんですよね。そうした体験があったので、ゲームが大好きになりましたし、「僕のようにゲームに救われる人は多いんじゃないか」と思うようになりました。
この原体験が、私の「根っからのオタク」としての基盤であり、データ分析や経営の仕事をしていても、「ユーザーさまが喜ぶ、心を動かすゲームを作りたい」という根源的な熱意につながっています。

ゲームの開発と経営、両方を知っていることが最大の強み

ーー柳原さんは、ご自身の強みはどんなところだと思われますか。



柳原:経営に関わる業務を経験したうえで、ゲームの企画から、開発、ファンに届けるところ、データを分析しながら運営するところまで一連の業務すべてに携わり、ゲーム開発・運営に対する高い解像度を身につけることができたと思っています。こうした経験から、物事の判断が必要なときに経営的な視点を持ちつつ、クリエイティブチームの力を引き出すような意思決定ができるという点は強みになると思っています。

ーーゲームの開発者と経営者、どちらの視点も持っているということですね。



柳原:はい。ただ、そのバランス感覚が難しくて、油断するとどちらかに寄ってしまいかねません。どちらかに寄って判断することのないように、何か課題があった時になるべく長期的な目で捉え、バランスを見ながら判断できるように心がけています。

ーー組織づくりやチームづくりではどのようなことを心がけていますか。



柳原:ゲームづくりの過程ではさまざまな壁にぶち当たることもあり、壁を突破していくにはチームワークだけではなく、既存の常識にとらわれない独創的なアイデアが重要です。そういったアイデアを出すクリエイターの才能が十分に発揮できるように、日頃から個人の能力や特性を見つけて生かせる組織づくりというのを意識しています。一つのアイデアで停滞していたチームの歯車がかみ合う瞬間や、一気に加速する瞬間の力強さを実体験として知っているので、そういう瞬間を生み出せるチーム編成を心がけています。

ーー「個」の力を生かした「チーム」ということなんですね。



柳原:そうですね。今世の中には素晴らしい作品が沢山あって、その中で誰かの目を奪うような、印象を残す作品を創りだす力が必要です。その力をチームでどう最大化できるかが、ゲーム開発組織の肝だと思っています。

ファンを増やし、ユーザーさまの期待を超える作品を届け続ける

ーーグリーグループのゲーム事業としてまた経営者として、これからも大切にしていきたいことを教えてください。



柳原:グリーグループのゲーム事業の強みは「挑戦し続ける」ことだと思います。また、ここ一番の踏ん張り時に責任者が最前線で勢いよく旗を振っていたら、「あの人がここまでやるなら、俺たちも」ってなりますよね。経営者としては、そういう雰囲気がつくれるようになりたいと考えています。ゲーム事業ってすごく波があるのですが、 どんな状況でも常に元気で、前向きで、今日も楽しいぞ!っていう、振る舞いができるようになりたいです。

ーー今後、柳原さんがゲーム事業を率いていくうえで、注力していきたいことや新たに挑戦したいことは何ですか。



柳原:とにかくファンを増やしたい。より多くの人に「グリーグループのゲーム事業が関わっている作品だからプレーしてみたい」とか、「大事なIP作品を預けたい」と思っていただきたいです。各方面から我々に対する期待が高まっているので、作るゲームの本数、種類、提供するプラットフォームも、どんどん増やしていきたいと思います。

ーー最後に柳原さん、今後への意気込みをお願いします。



柳原:プロダクトとユーザーさまにしっかり向き合って、ユーザーさまの期待値を超える、求められている以上の品質のものを作っていきます。グループの本部長としてやることが増えたり、変えなければいけないこともあるとは思いますが、ファンの方々に喜んでもらえるものを届けること、そこは変えることなく続けていきます。

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