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リアルとバーチャルの空間を繋ぐ新たな試み「出席型バーチャル株主総会」

2020年9月29日、グリー株式会社は六本木ヒルズ森タワー(本社)にて、第16回定時株主総会を開催しました。今回は、2019年に実施した国内初「双方向参加型バーチャル株主総会」に続く新たな試みとして「出席型バーチャル株主総会」を実施。
株主様にウェブサイトを通じてライブ中継をご視聴いただきながら、議決権行使や質問ができるインターネット出席を推奨したことで、遠方からのご参加を可能にしたほか、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に効果的な取り組みとなりました。

これまでに前例のない「バーチャル株主総会」という試みがどのようにして発案され、実現に至ったのか、コーポレート本部 法務総務部の皆さんに聞きました。

【プロフィール】

松村松村:コーポレート本部 法務総務部 シニアマネージャー
2010年にグリー入社。入社より株式実務・コーポレートアクション等の商事法務業務に従事。2016年より組織法務総務グループのシニアマネージャーとして、組織法務、ファシリティマネジメント、アドミニストレーションを傘下に持つ。

徳田徳田:コーポレート本部 法務総務部 組織法務チーム
2010年グリーに入社。特許・商標・著作権を担当したのち、組織法務チームに異動し2015年まで株主総会業務を中心とするコーポレート関連の法務業務を担当。さらに他社でも契約、知財、コーポレート関連の経験を経て、2018年グリー再入社。

鮎田鮎田:コーポレート本部 法務総務部 アソシエイトマネージャー
2012年にグリー入社。グループ子会社にて、経理・人事・総務・経営企画・広報など、コーポレート部門の業務領域に幅広く従事し各業務における運用フローを確立。2019年よりグリー法務総務部にジョイン。

一年に一度の機会なのに、1%に満たない人数の株主様としかお会いできなかった

ーーそもそも「バーチャル株主総会」とは、どのようなものですか?

松村松村:「株主総会」は株主様がさまざまな重要事項を決議する大切な場です。法務総務部は毎年、2時間ほどの総会に向けて半年間をかけて準備を進めますが、数万人いらっしゃる株主様のうち、会場へお越しいただくことができるのは全体の1%にも満たないという状況です。この状況はグリーだけではなく他社様においても同じで、このような中、経営リソースは適切に割けているのか、ずっと疑問を感じていました。
私は過去に、法律事務所やゲーム会社などで長く株主総会の運営に関わってきたのですが、ここ10年ほどで重要視されるテーマが「株主様との対話」に変化しつつあります。
グリーはインターネットの技術やノウハウをもつ会社なので、チームのメンバーと共にグリーらしく株主様と対話を深められる総会のあり方について工夫とディスカッションを重ねた結果、「バーチャル株主総会」の実施に至りました。

ーーコロナ禍以前にバーチャル開催を発案されていたのですね。

松村松村:2017年の第13回定時株主総会では、VRカメラでの会場内360度撮影や、第14回にはリハーサルから含めた総会のダイジェスト映像の制作を行いました。運営の裏側をお見せすることで株主様にも喜んでいただきましたので、2019年の第15回定時株主総会では、国内初の双方向参加型バーチャル株主総会を開催しました。
この取り組みが経済産業省で行われている「株主総会プロセスの電子化促進等に関する研究会」で紹介された経緯もあり、次のステップとして今年は出席型のバーチャル株主総会を開催しました。

ーー出席型バーチャル株主総会は、参加型とどのように違うのでしょうか。

徳田徳田:参加型では株主様にライブ映像をご覧いただきながら、会中に株主様にお送りいただいたメッセージに役員がコメントをしました。一方、出席型は株主様が会中に質問や議決権行使等をWeb上のシステムで行うことができます。双方向でコミュニケーションできる点は同じですが、参加型では会社が株主様に対して任意に提供する発言機会であることに対し、出席型では質問権や議決権行使を会社法に基づく株主の権利として行使していただく点が異なります。そのため、株主様の権利が阻害されることのないよう、全体の進行シナリオから細かいFAQまで入念に準備する必要があります。

松村松村:2017年から行ってきたそれぞれの試みは成果物の形こそ違いますが、「株主様といかに深い対話・コミュニケーションを行えるか」、そして「いかにリソースを効果的・効率的に使えるか」というテーマは通貫しています。


あらゆるリスク想定と入念な準備で何から何まで前例のないチャレンジに備える

ーー今回のバーチャル株主総会開催にあたって、どのようにして使用システムを作られたのでしょうか。

松村松村:バーチャル株主総会は業界にとっても新しい試みで、総会責任者にとっても大きな決断になります。今年は、当社が目指す出席型バーチャル総会を実現するにあたり、最適なパートナーを模索していたところ、システムに関する実績は当然のことながら、新しいことに挑戦する気概を持ち、株主総会について勉強意欲や協力姿勢のあるブイキューブさまを選定させていただきました。

徳田徳田:実際、ブイキューブさまは期限が差し迫る中でも複雑なお願いに対応してくださいました。

ーー新しい試みとして前例のないことずくめですが、どのようなリスク想定をされていたのでしょうか。

松村松村:株主様がいらっしゃる空間が物理とインターネットの2会場に分かれ、それらをシームレスに繋ぐ必要があるので、トラブルの想定も通常の2倍から3倍になります。
グリーの一部役員の登壇もZoomを利用するなど、オンラインと現場のハイブリッド環境でした。さまざまな調整が必要になるので、ありとあらゆるリスク想定をしました。

徳田徳田:進行シナリオなどのソフト面はもちろん、新しく利用するZoomとスライドのスイッチング、社内のスタッフとカメラワークをどうするか、音声のハウリングが起こらないか……そうしたハード面の準備も多くありましたね。
配信をご覧になる株主様がストレスなく閲覧できるかという点は勿論、物理会場にいらっしゃる株主様からの見え方や、機材の性能、操作するスタッフの負荷など、あらゆる視点で問題が無いよう何度も部分リハーサルで細かく調整しました。

積み重ねた実績と世の中の変化の追い風を得て、株主総会をさらに進化させたい

ーー株主総会を終えて、物理会場やインターネットでご出席された株主様、登壇された役員、それぞれの反応はいかがでしたか?

松村松村:会場へ足を運んでくださった株主様の多くは、バーチャル株主総会の取り組みにご興味を持ち、お越しいただいたようです。「(初めての取り組みなので)もっと現場が混乱するかと思ったが、とてもスムーズだった」とご感想をいただきました。

徳田徳田:インターネット出席の株主様からは、想定以上にたくさんの議案に関連するご質問が寄せられたのも特徴的でした。システム上で質問できる回数や文字数を制限し、物理会場での質問とバランスが取れるように工夫したのですが、結果的に推敲された、対話の深化に資するご質問が多く寄せられました。
また、今年はコロナ禍の感染対策もあり、物理的な手渡しを避けてお土産を廃止しました。そうしたインセンティブがなくても、事業内容や経営に関して積極的に対話を求めて参加した方が多かったのかもしれません。松村のいう「対話の深化」の手応えが得られたと思います。

鮎田鮎田:お土産の代わりに、今年はアンケート回答のお礼として株式会社ギフティが提供するeギフトをお送りしました。SNSなどで喜ばれている反応を拝見し嬉しかったです。
アンケート機能とeギフトがセットで送れる機能に着目してプレトライアルで導入したのですが、ギフティさまも「ゲーム案件ではなく株主総会でのご利用ですか?」と、問い合わせの際に少し驚かれていました(笑)。

松村松村:役員からのフィードバックも高評価でした。会場が本社になったことで負担が減り、年に一度の株主さまと直接お話しする機会を、無駄なく濃度の高いものにできたようです。
「経営リソースを効果的かつ効率的に」という点でも、新しい知識やサービスをうまく取り込めないかというディスカッションを常に行なっています。メンバーのアンテナが良いので、gifteeの新しい使い方を発案できたのかと思います。

ーーこうした新しい取り組みを実現するために、企業やチーム内にどういった要素が必要だと思われますか?

鮎田鮎田:私は今年から株主総会の運営チームに参加しましたが、既存のチームメンバーが、自分たちの過去のやり方に固執せず、新しいチャレンジにトライしている姿に対しとても感銘を受けました。協力会社とのやりとりを見ていても、新しい情報を取り入れよう、それによってより良い改善をし続けよう、という意識が強く、若いメンバーや新しいチームメイトの提案にも耳を傾け積極的に取り入れてくれます。

徳田徳田:チームではベテランの松村に対し、経験の浅いメンバーもフラットに接しています。「それって毎年やるけど何のためにやっているのか」「より良いやり方はないのか」と、根本的なところから改善できる点を常に考え、提案していますね。アイデアを持ったメンバーがいて、それを気兼ねなくテーブルに出せる環境はグリーならではと言えるかもしれません。
また、多くの会社は3月決算で6月に株主総会を実施しますが、そこで新しい事例や取り組みが発表されるケースも多く、6月に収集した情報をすぐに9月のグリーの株主総会に向けて取り入れることもあります。大変なことでもチャレンジするのが私たちの強みです。

松村松村:チーム内は常に、ベストな株主総会を開催するために、「みんなの意見をどんどん言って!」という雰囲気をつくっています。新しい意見を取り入れやすい環境はマネジメントとしても目指すところであり、グリーの企業風土だとも言えます。
株式会社の数だけ株主総会がありますし、各会社が自分たちらしい総会を行うようになってほしいと思っています。今回のグリーの試みをみて「自分たちにとってより良い総会はなんだろう」と考えるきっかけになればと思います。
そのためにも先陣を切って新しいことに挑戦し、実践ノウハウを積み重ねています。

ーーこの先、さらにチャレンジしたいと考えている試みはあるでしょうか。

松村松村:これまでと同様に、グリーにとってのより良い株主総会をメンバーと共に探っていきますが、バーチャル株主総会の次の段階として、バーチャルオンリー型での開催を検討したいですね。
そこで必要になるのは、物理会場を必須とする現行法の改正です。数年前までは「インターネットだけで株主総会なんてできるわけがない」と呆れられる場面もありましたが、コロナ禍によって周囲の反応も変わり、何十年も当たり前に開催されてきた「場所」の必要性が議論となっています。
コロナ禍に関わらず、株主総会のバーチャルオンリー開催は、株主様と企業の双方にとって価値の高い在り方だと思うので、引き続き経済産業省などに働きかけていくつもりです。
私たちの目指すところは変わりませんが、世の中の意識が変わりつつある。この一年で株主総会業界は大きな一歩を踏み出すと思うと、それが楽しみでなりません。

以上

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