【Pick Up】社内報冊子「ジーマガ」8号より「VTuber×テクノロジー:白井さん、VTuberって何者ですか?」

VRをはじめとする最先端技術の研究開発組織「GREE VR Studio Lab」ディレクターに就任した白井暁彦氏。「VTuberは人格を持ったリスペクトすべき相手」と熱弁する同氏に、VTuber事業やテクノロジーについて伺います。


白井 暁彦

白井 暁彦:GREE VR Studio Lab ディレクター

東京工業大学(博士課程)出身。フランスでの研究実績を持つ。工学博士としてものづくりに携わるだけでなくエンターテインメントVR研究に尽力、2018年に本組織ディレクターに就任。映像・写真関連の経験や芸能活動の実績も持ち、父親でもあるなど、さまざまな「アバター」を持つ。

ーー白井さんは大学教授という職を辞してグリーに来ました。


白井 暁彦

白井:大学の先生っていう肩書だけで固定されて生きていくのはつらいなと。今まである人生を、つまりアバターを脱ぎ捨ててでも新しいことをやりたくて。山を超えて、誰も見たことのない世界に行ってきてそこで起こっていることを伝えなきゃいけない。世界の名だたるIT企業と対話してみましたが、グリーのVTuber事業に対する熱量は抜きん出ていました。だからこそグリーであれば、VTuberの先にある世界に一緒に行くことができる、と。



日本には昔から浄瑠璃のように人形に心を宿して表現する芸能があります。アバターを着せて世の中の境界面を探ろうとする、本当に人が面白いと思うことを匠が力を合わせて極めようとする文化・芸能ですね。現代では、漫画、アニメと形を変え、VTuberという存在が出てきた。理想の見た目に理想の人格がくっつくことで、より表現したい「想い」や「特技」が際立って見えてくるし、発信することができる。



グリーが開発しているアプリ「REALITY Avatar」はそんないろんな人の「なりたい自分」をスマホ一つで叶えられてしまう。そこには多種多様な新しい人類がいて、どうやったら視聴者が喜ぶかを肌で感じながら「あたらしい自分の存在」を確立していくことができます。我々はそのための仕組みづくりや特許取得を進め、技術面でのサポートをしていますが、「いま必要でないもの」を作っていくことも同じくらい重要だと思っています。目の前にある大きい山を越えるには今までと全然違う道具がいるから、いま必要でないものを扱う経験も大事なんです。

ーーその山を越えた先には何があるのでしょうか。


白井 暁彦

白井:VTuberが現実の人類を超えた世界が広がるでしょうね。VTuber 技術は例えるなら「ライブエンターテインメント技術のフォーミュラ・ワン」です。今僕たちは、最高のテクノロジーとそれを支えるチーム、VTuberという理想的な存在と発信するREALITY Studio。そしてファンの熱量が入り混じったこの盛り上がりとその技術を世界に向けてアピールしないといけない。



世界に発信するためには、言語の壁や異質な文化の向こう側からの理解を想定したデモンストレーションシステム開発、そして印象的なシナリオ作りも必要になります。「山が険しいから越えるのはやめておこう」ではなく、少しずつでも「何度でも挑戦する」習慣を作り、そこを越えたところにある価値を示して皆が自然と「どの方向に向かうべきか?」を感じられるようになるのが僕の役割だと思っています。

ーー何年後かには、VTuberも市民権を得るような社会になるでしょうか?


白井 暁彦

白井:いや、今年中に市民権を得たいですね。VTuberの存在がもっと身近になり、日本中の人が「2020年の東京オリンピックではVTuberがおもてなしするよね」ってなるためのラスト1マイルだと感じています。アバターが人間のかわりに仕事をするのも時間の問題だし、人によってはアバターでいる時間のほうが実際リアルで生きている時間よりも重要で高付加価値で、お金にもなるっていう時代が来る。



今まさに、現実とバーチャルが融合する、画面の境界を飛び越えた新しい世界が作られようとしています。だからこそ若い人は、決められた人生に生きなきゃと思うのは間違いだと僕は思います。将来は自由に作ったアバターが自分の代わりに仕事してくれる時代が来るのだから、自分自身はもっと別の生き方もできるし、どうやって生きるかをより柔軟に考えて世界の常識を塗り替えていってほしいですね。グリーはそういった変革に対応した環境づくりをできる会社だと思います。

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