【特集】プロダクトとお客さまをつなぐマーケターたちの思い。

お客さまの動向を探り、プロダクトのプロモーションなどを行うマーケティングの仕事。
ただ、ひと口にマーケティングといっても、その業務内容は事業部やタイトルによってさまざまです。
今回は、「グリー」、「Wright Flyer Studios」、「ポケラボ」、「ファンプレックス」のグリーグループ4社のマーケターに集まっていただきました。
ファリシテーターをグリーグループ内で広告代理店を担っている「グリーアドバタイジング」の柴田に務めてもらい、それぞれの戦略や思いを語っていただきます。


柴田

柴田:ファリシテーター。グリーアドバタイジング代表取締役社長。


馬場

馬場:勤続年数約7年。グリーのJapan Games事業本部マーケティンググループのシニアマネージャー。主に長期運営のタイトルを担当している。


五十嵐

五十嵐:2018年、新卒で入社。Wright Flyer Studiosのマーケティングチームに所属。現在は「ダンまち〜メモリア・フレーゼ〜」の担当。


小林

小林:2014年、新卒でグリーに入社。現在はポケラボ社のマーケティングチーム所属。アソシエイトマネージャーとしてチームを統括しながら「シノアリス」を担当している。


加藤

加藤:勤続年数6年。ファンプレックスのマーケティングチームのマネージャー。現在は、運用フェーズにあるゲームのマーケティングに注力している。

マーケターの役割は、火をつける・消さない・再燃するきっかけをつくること

ーーまずは4人の方に、自己紹介と現状の業務について簡単にお話しいただければと思います。



小林

小林:2014年の新卒でグリーに入社し、今はポケラボでマーケティングの業務を担当しています。具体的には、「シノアリス」のプロモーションチームのリーダーとして、主に「シノアリス」プロモーション業務の統括を行っています。


馬場

馬場:中途で入社し7年目になります。マーケティングプロモーションチームで、グリーブランドのタイトル全般のプロモーションをさせていただいています。とくに直接担当しているのは11周年を迎えた「釣り★スタ」で、これまでさまざまな仕掛けを講じてきました。チームとしては、ほかにもグリーの歴史あるタイトルを担当しています。


五十嵐

五十嵐:私は2018年新卒で入社しました。去年7月から内定者アルバイトとして、「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか〜メモリア・フレーゼ〜(以下、「ダンメモ」)」のプロモーションチームで働いていました。4月の配属でWright Flyer Studios(以下、「WFS」)のプロダクト・マーケティングチームに配属され、現在も主に「ダンメモ」を担当しています。毎週YouTubeでやっている生放送番組や公式SNSの運営、それから「ダンメモ」1周年に向けたリアルイベントやキャンベーンなども担当しています。

ーー入社数カ月ですごいですね。



五十嵐

五十嵐:新人でこんなにやらせていただける場はそうないと思うので、本当にありがたいです。


加藤

加藤:私はファンプレックスというゲームの運営に特化したグリーの子会社で、マーケティングチームのマネージャーをしています。もともとはゲーム運営を担当していたのですが、今年1月にマーケティングチームが発足したところです。現在、ファンプレックスでは約20タイトルを運営していて、マーケティングやプロモーションの対象タイトルの全体を担当しています。

ーーファンプレックスは既存タイトルを獲得して、そのマーケティングを引き継いでいるんですよね。



加藤

加藤:はい。基本的にパートナー企業が開発・運営しているタイトルを移管して運営業務を行っています。私は新規のお客さまの獲得や継続施策など、各タイトルが抱えているそれぞれの課題を解決するために分析、企画、実行までを一貫して行っています。

ーーみなさん、どちらかというとデジタル・マーケティングというより、マーケティング全般をやられている感じですね。ただ、各事業部やタイトルによって意識されていることはそれぞれ違うと思うので、その点についてみなさんにお聞きできればと思います。



加藤

加藤:ゲームの運営がファンプレックスに引き継がれた時点で、過去のノウハウは生かしつつ、もう一度マーケティングを最初から見直すことは意識しています。

ーーそういったところは、ファンプレックスのタイトルは他の会社とちょっと違うかもしれませんね。



加藤

加藤:そうですね。あと、大切にしているのは“火をつくり出すこと”。炎上させるという意味ではなくて(笑)、マーケターの最も大きな役割は、火をつけるきっかけをつくることだと信じています。

ーーどの辺に火をつける?



加藤

加藤:お客さまが「このゲームでプレイしてみよう」と思うきっかけはもちろんですが、運営しているメンバーがマーケティングをきっかけに「このゲームはもっと伸ばせるかも」と思えるような空気感をつくるのも大事だと思っています。それがマーケターに求められている一つかな、と。

ーーなるほど。五十嵐さんは、「ダンメモ」の企画でチャレンジされていますよね。



五十嵐

五十嵐:経験としていちばん大きいのは、「ダンまち放送局オラジオZ」というYouTube(TM)生放送番組を毎週火曜日やっているのですが、攻略情報やゲームの新着情報など、そこで初めて出す情報もけっこう多いんです。コメントを出してくださる方も顔なじみになったりして、コミュニティづくりに一役買っているという実感はあります。

ーーコミュニティ形成やファン層の造成を意識されているんですね。



五十嵐

五十嵐:そうですね。IPがもとにあるものなので、IPのファンの方たちにゲームもファンになっていただきたい。そう考えたとき、コミュニティ形成をすることによって、お互いに盛り上げていく効果が期待できると考えています。加藤さんが大切にされていることが“火をつくり出す”ことだとすれば、私は“火を消さない”といったところでしょうか。


小林

小林:ポケラボの特色は、プロダクトチームとの連携にあると思っています。他社の話を聞くと、マーケティングチームとプロダクトチームの間には距離があり、それぞれが別々に施策を進めている組織も多いようです。
私たちは、物理的な距離を縮めることから始めていて、たとえば私の席の真後ろに「シノアリス」のプロデューサーの席があります。プロデューサーはプロダクトだけでなく、プロモーションも俯瞰的な視点で見ているので、プロデューサーをハブとしながら、プロダクトチームのメンバーとコミュニケーションを取って連携しています。二つのチームが足並みをそろえることによって、プロモーション施策の効果を最大化することを大切にしていますね。

ーーひとことでいうと、“プロダクト・インサイト” されたマーケティング組織ですね。



小林

小林:そうですね。投じた費用や工数に対して最大限の投資対効果を得るためには、プロダクトチームにも動いてもらわないと…。アドネットワークなどによってお客さまを獲得するだけであれば我々の努力でできますが、その後、お客さまが長く遊び続けてくれるかは我々の手にはなかなか及ばないところですから。


馬場

馬場:グリーの今のキーワードは“リブランディング”です。他のゲーム会社があまりやっていないものであり、今後、ゲーム業界内でも注力するタイトルが増えるところだと思います。リリースから10~11年経つ「釣り★スタ」や「探検ドリランド」も、リブランディングに取り組んでいるところです。

ーー長期タイトルを多く扱っている馬場さんならではですね。



馬場

馬場:参考にしている事例やセミナーに参加するものも、ゲーム会社やウェブサービスではなく、湖池屋様やル・クルーゼ様、セシルマクビー様など他の業界です。長年やっている間に競合商品や価格競争などの問題に直面したであろう企業ですが、、それらのリブランディング施策をヒントにしたりしていますね。そういった意味では、前例のない最新のゲームプロモを開拓していると自分に言い聞かせています。

ーーどういう方向を目指しているのですか。



馬場

馬場:例えるなら「こち亀」や「サザエさん」、「三ツ矢サイダー」のような存在になりたいんです。最先端やトレンドの中心を求め続けるのではなく、世間に浸透してそこにあるのが当たり前で、なくなると寂しく感じる。そんな10年、20年30年とあり続ける存在です。
先ほどの“火をつくり出す”、“火を消さない”という言葉がありましたけれど、私たちは“再燃させる”ですね。そうなると、先ほどの小林さんのお話にもありましたが、プロダクトとの距離感が重要になってきます。僕だけ勝手にリブランディングを唱えても実際の形にはなりません。

ーーみなさん、マーケティングの仕事でやりがいを感じるのはどんなときですか。



五十嵐

五十嵐:グリーはものづくりをする会社です。私はそれをお客さまのもとに届けることに興味があり、プロモーションやマーケティングに携わることができる部署への配属を希望しました。実際に、生放送やSNSにリアルタイムでリアクションが返ってくるので、それがすごく嬉しくて、楽しいです。その反面、出したものに責任を持たなければいけないので怖い部分もありますね。


馬場

馬場:SNSでの反応があると嬉しい一方、無反応だと寂しいですよね。


小林

小林:お客さまの反応が見られるのは、やりがいを感じるところですよね。「シノアリス」でいうと、ツイッターのフォロワーが30万人単位でいます。生放送も始め、同時接続で数万単位の人に見てもらっているので、ひとつツイートするにしても緊張感を持って行なっています。

ーー「シノアリス」のリリース直後、トラブルがあってお客さまから、まさにこれは“最悪の物語”という反応がありましたね。施策を行う中で辛いこともありますよね。



小林

小林:リリースされるゲームに対して、マーケターはお客さまに期待していただけるよう計画を立てていくのですが、リリースが遅れてしまうこともあります。そうなると当初考えていたような形でのプロモーションができなくなる上に、お客さまをお待たせしてしまいます。リリースが伸びた分、アドオンでお客さまにいかに興味を持ち続けてもらうか。ある意味腕の見せ所でもあるので、やりがいも感じます。

グリー流マーケティングの文化の背景とこれから

ーーみなさんのなかには、もともとマーケターではなかった方もいらっしゃいます。これまでの経験が現在の仕事に生かされている部分を教えてください。



加藤

加藤:私はゲームの運営を行っていました。グリーグループ全体が「PDCAサイクル」(※)を大切にしている会社なので、マーケティングにおいてもそこは生きていると思います。


馬場

馬場:前職は広告の営業をしていました。本当に多種多様なナショナルクライアントを担当させていただいたことは、今生きていると思います。

ーー広告という軸は同じですが、マーケティングという職に対してギャップを感じることはありましたか。



馬場

馬場:当初は、代理店など社外の方々と交渉するのがマーケターの仕事だと理解していました。でも実際やってみるとむしろ逆で、今は社内をコントロールして、外部のお知恵を借りながら事をなす仕事だなと思っています。ですから、社内で本当にいろいろな人とつながるようになりました。


小林

小林:私は事業企画の部署にいました。今もマーケティングという側面だけではなく、開発や運営、マーケティング、それから経営という視点を持ちながら業務ができていると思います。意識しているのは、マーケティング施策の最大化ではなく、プロダクトの最大化です。先ほどお話ししたプロダクトとの密な連携や協力が、そこにつながっていると思います。

ーー確かにそうですね。マーケティングの領域は経営に直結していますよね。経営部署のひとつであるという認識です。



小林

小林:運営費は、とんでもなく跳ね上がることはありません。一方で、プロモーションの費用は投じようと思えばいくらでも投じることができます。プロモーション費用はプロダクトのP/Lに与えるインパクトが非常に大きく、経営にいちばん近い部分と言っても過言ではないと思っています。

PDCA:事業活動における生産管理や品質管理などの管理業務を円滑に進める手法の一つ。Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の 4段階を繰り返すことによって、業務を継続的に改善する。

ーー五十嵐さんは、内定アルバイト時代から現在にいたるまで、どのようなステップを踏んできたのですか。



五十嵐

五十嵐:内定アルバイトとして働き始めたのは、「ダンメモ」の北米版配信が動き出したタイミングでした。当時、WFSではグローバルでの展開を拡大させるタイミングでした。その北米版のリリースを間近で見ていたことは、今後グローバルに展開していくWFSのマーケターとして良い経験となりました。さらに、その2、3カ月後に「ダンメモ」のYouTube番組立ち上げがあり、ファンコミュニティを創り、お客さま同士のコミュニケーションが活性化されることによって、火が消えない状態を作り出す大切さを学びました。

ーー今後、マーケティング活動でやっていきたいことを教えてください。



五十嵐

五十嵐:「ダンまち」は劇場版とアニメ二期の製作が発表されているのですが、引き続き、「ダンメモ」で最も大事にしているファンコミュニティの成長に注力しつつ、IPとしての「ダンまち」をゲームから最大限に盛り上げていきたいと思っています。


加藤

加藤:ファンプレックスでは、海外も視野に入れていますね。日本で開発しているタイトルをグローバル配信するのではなく、もともと海外で開発・配信していたゲームを海外に配信する。ファンプレックスとしても知見があまりなく、海外の方のクリエイティブに対する嗜好性も全然違うため、そこをどう切り崩していくかが課題です。


馬場

馬場:来年グリー株式会社は15周年記念を迎えます。このタイミングで、タイトルはもちろん、SNS「GREE」としても大きくプロモーションを仕掛けたいと個人的には思っています。それから、「釣り★スタ」も含め、「超長期運営タイトル」いうカテゴリーをつくりたいと考えています。5年以上続くタイトルは業界でもレジェンドだというカルチャーを生み出したいですね。


小林

小林:「シノアリス」は、リリースから1周年です。抱えていた課題を改善し、順調に成長させることができているタイトルなので、今後はより大きな規模のプロモーションにチャレンジしていければと思っています。

ーー各事業部ともに周年イベントがありますね。そのポイントを教えてください。



馬場

馬場:「今まで遊んでくれてありがとうございます」というメッセージは大切だと思っています。そのひとつとして今『釣り★スタ』では、過去遊んでいたアイテムのリサイクルキャンペーンを行っています。古くなってゲーム上で使えなくなった竿を新しい竿と交換する。長くやってきたからこそ、リサイクルに価値が出せる。それができる唯一無二のタイトルです。


小林

小林:「シノアリス」は初めての周年記念なので、楽しみにしてくださっているお客さまもたくさんいると思います。今回は先ほどできましたが、「最悪の一周年」といったコピーでプロモーションを展開していく予定で、プロダクト側も含めて準備をしています。そのなかで大規模なお客さまへの還元施策も行いますが、大きなポイントは「ポケラボクエスト」です。リリース当初、何が起こっていたかをクエストにして入れているんです。一周年になったら、ぜひもう一度「シノアリス」をプレイしてみてください。

ーー攻めていますね。



小林

小林:はい、バトルのステージの背景にポケラボのオフィスの写真が使われていたり。それから、先日ソーシャルゲームインフォさんにリリース当初についてインタビューしていただいたのですが、ゲームの中のポケラボクエストとそのインタビューがリンクしていて、両方やるとつながるという遊びも入っています。


五十嵐

五十嵐:「ダンメモ」は6月19日で1周年を迎え、「声優×ゲーム×アーティスト(音楽)」をテーマにしたリアルイベントを行います。

ーーどんなイベントになりそうですか。



五十嵐

五十嵐:YouTube番組の出張版で実機プレイや、声優さんの朗読劇、主題歌アーティストのライブなど、これまでプロモーションで培ってきたコンテンツが入ったオフラインイベントとなっています。ゲーム内とリアルのイベントが連動している企画もあります。1周年のタイミングで人気キャラクターが主役のメインストーリーが開放されるので、そちらも大きな反応になるだろうと思っています。


加藤

加藤:ファンプレックスでは今、3タイトルが周年を迎えています。今遊んでいただいているお客さまへの還元はもちろんテーマとしてありますが、それをきっかけにしてツイートなどをいかにしてもらうかの施策はかなり重視しています。周年はお客さまからのツイートが多くなる時期です。それを生かして大きくしていけば、かつて遊んでいただいていた方にもう一度リーチできるのではないか、と。プロモーションとしては、すごくいいタイミングだと思っています。

ーー各事業部が注力する周年イベントが楽しみです。みなさん、今日はありがとうございました。

※取材は2018年5月に行いました。

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