株主総会は法的手続きではなく、ファンになってもらう機会。進化を続けるグリーの総会裏側をレポートします!

こんにちは、広報の石川です。

今年も、9月に定時株主総会を開催しました。グリーの株主総会は毎年、新しいテクノロジーを取り入れるなど進化を続けています。

取り組みの一部を紹介するとともに、「”株主総会のプロ”として、総会を単なる法的手続きではなく、株主の皆さまに楽しみにしてもらえるイベントにしたい」と語る運営実行責任者である法務総務部 組織法務総務グループ シニアマネージャーの松村にインタビューしました。

デジタル面での3つの取り組み

1.会場の雰囲気を配信する「360°オンデマンド動画」

今年度より導入されたのが「360°オンデマンド動画」の配信です。当日会場の様子を専用機材で撮影し、3日後に、コーポレートサイトにて公開しました。

※以下URLより、どなたでもご覧いただけます。
http://corp.gree.net/jp/ja/ir/stock/meeting/

松村:グリーは2015年より、360度動画やVR事業にも力を入れていますが、株主総会は株主の皆さまにも事業理解をしていただける絶好の機会とも思い、導入を提案しました。社内に機材や撮影、編集できるメンバーがいることも、導入が決断できた理由の一つだと思います。
「360°オンデマンド動画」で見ていただくことで、会場に来られなかった株主の方々、その他のステークホルダーの方々にも、内容だけでなく会場の雰囲気を感じていただけるのではないでしょうか。

正面は登壇者
動画上では、画面を左右にドラッグすると役員や会場全体が見えます
企画展示エリア(本会場外)も見ることができます

2.IT業界で初めて導入した「スマート招集」

「スマート招集」は、2016年度の株主総会から導入した、スマートフォンやパソコンでも株主総会招集通知の内容を閲覧できる株式会社プロネクサスが提供するサービスです。代表の田中からのメッセージ、事業内容の説明、インターネット議決権行使ページへのリンクなどが閲覧できます。

※「スマート招集」の詳細は以下のURLからご覧ください。
http://corp.gree.net/jp/ja/news/press/2016/0829-01.html

松村:現在、企業と投資家の対話促進の観点から、株主総会プロセス電子化の検討が進んでいますが、インターネット企業である強味を生かし、現在の法規制の範囲内でできることは、先んじて導入したいと考えました。今では、導入企業として業界団体や官庁の担当者の方などと意見交換する機会もでてきています。法改正には時間がかかりますが、5年後10年後に先駆者としてグリーが株主総会の電子化をリードできるようになっていたいです。

3.株主さまへ目線を向けられる「プロンプター」を導入

スクリーン中央、田中の左上にある透明の板は、原稿を投影するための演説用機材です。前を向いている田中の目には、原稿も見えています。

松村:株主総会は法定要件を満たした議事進行が必須であるため、必ず「シナリオ」を用意します。そのシナリオ原稿が手元にあると、議長の目線がどうしても下を向きがちになるため、株主の方々を見て話す方法はないかと考えていました。そんなとき、テレビで米大統領がプロンプターを使って演説しているのを見て、これだ!と思い社内で提案したところ、快諾してもらえました。

総会運営にかける想い

―毎年さまざまな取り組みを進める理由を教えてください。
私たちは株主総会運営において「法的手続きの厳守」「イベント性」「株主とのリレーション構築」の3点を大事にしています。
株主総会は法的に開催しなければならないので、毎年かかる「コスト」として「こなすもの」と捉えられてしまいます。ですが、せっかく多くの株主の方にお時間をいただくので、毎年楽しみにしてもらえるようなイベント性のある会にしたいと考えています。

法律に抵触しない範囲という制約の中で、株主さまにグリーの事業を知ってファンになってもらったり、逆にプロダクトのファンの方に株主になってもらえたら、私たちだけでなく皆嬉しいので。たとえば、昨年はプロダクトのプロモーションビデオを会の間に流したところ、プロダクトについての質問が増えました。些細なことではありますが、事業に興味を持っていただけたことがとても嬉しかったです。

―これらの新しい取り組みのアイデアはどこからきているのですか?
「新しいことをやろう!」というよりも、参加いただく株主の方々の目線になって考えるようにしています。また、運営側も我々社員だけではなく、株主総会に詳しい顧問弁護士の先生方、ノウハウ豊富な証券代行の方、印刷会社や会場であるホテル関係者、その他さまざまな関係者がいます。また、運営事務局には、私が統括する組織法務チーム、ファシリティマネジメントチーム、アドミニストレーションチームのメンバーも入っているので、さまざまなアイデアが出てきます。その中で、関わる全員がWin-Winになれるようなアイデアを役員に提案し、取り入れています。

今年から総会会場に机を設置しましたが、これはファシリティマネジメントチームのメンバーから2年前に提案されたアイデアでした。パソコンを開いたり、アンケートを記入いただくにはやはり机があった方が便利ですよね。

ただ、机を入れることによって会場の座席数も少なくなりますし、一度導入したら継続性も必要となります。広さの限られた会場で、当日何名くらいの株主さまが来場されるか未確定の中、机を導入している企業が少ない理由がここにあります。本当に直前まで葛藤があり、総会当日の朝も机と机の間隔幅や列数を調整していました。細かいところまでこだわった甲斐もあって、参加いただいた株主さまからは好評いただけたようです。

今年から設置された机は好評でした。

―新しいことにチャレンジするのは大変だと思いますが、原動力はどこから来るのでしょう?
限られた予算、時間、法的制約の中で運営するのは大変ですが、株主の皆さまにとっても、経費を使うより、配当として配分したほうがメリットがあると思っているので、より有意義な会議体にしたいと思っています。

最初、他部署から運営実行責任者を引き継いだ時には、何か工夫しようにも予算の制約が厳しくできることも限られていました。そのような逆境の中だからこそ、今のグリーや株主さまにとって、最適かつ最高の株主総会は何だろう、どうやったら関係者にメリットが生まれるかをとことん考えるようになったかもしれません。ちょっとおこがましいですが、この時から「株主総会のプロ」になろうと意識し始めました。グリーでは、役員も現場の声に耳を傾けててくれるので、こういった提案をし続けられるのかもしれません。ありがたい環境です。

終わったばかりで来年のことはまだ何も考えていない、と松村は話しましたが、その目、言葉からはさらなる進化を遂げそうな気配を感じました。まさに、グリーのバリュー「現状に甘んじない。さらに高い目標をめざす。」です。来年の総会が楽しみです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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