面白いゲームを提供するために重要な特許。「難しそう・・」なイメージを払拭するための取り組みとは?

こんにちは、広報の石川です。

最近、社内で「特許推進委員会」のかわいいポスターを目にします。特許勉強中のパティちゃんと、猫になってしまった彼氏のあーちゃん。
これまでに計1000件以上の特許権の出願・登録を行い、陰ながらプロダクトを支えてきた特許チームが、なぜ、突然このポスターを作ったのか、特許を担当する渡邉と片貝にインタビューしました。

特許チームの片貝(左)と渡邉(右)

――よろしくお願いします!はじめに、特許チームの仕事について教えてください。


渡邉

渡邉:「特許」とは、新しい技術を発明した会社が、その技術を独占できる権利です。私たちのミッションは、知的財産権のひとつである特許権を創出し、社内で開発・運営されているプロダクトやサービスを守ることです。

新しいプロダクトや、新しいイベントを行う前、世の中に出る前に、新しい技術が使われていないか、また他社の権利を侵害していないかをチェックするのが私たちの主な仕事です。

登録された特許権は、一つのプロダクトにとどまらず、他のゲームでも使うことができるので、より汎用的な特許権を取れないか、日々考えています。より汎用的な特許を取ることができれば、ゲーム内で使える技術の幅も広がるので、お客さまに、より楽しんでもらいやすいゲーム作りができます。



――「新しい技術」はどのようにして見つけているのですか?


片貝

片貝:実際には、朝会(注:毎週月曜日9時半から部署ごとに開催している朝会)などで新しい取り組みの情報をつかみ、担当者にヒアリングしたり、資料を見たり、実際にゲームをしたりしながら、新しい技術がないかを探しています。


渡邉

渡邉:他社のゲームもプレイしないとわからないところもあるので、チームで集まって会議室でゲームをし、情報交換する時間も確保しています。ゲーム会社ならではですよね。



――ゲーム内では日々イベントも実施していますし、プロダクトも次々と開発されています。どのような課題があるか教えてください。


片貝

片貝:はい、特許チームでフロントに立っている社員は3人ですが、必ずペアで担当するようにしているので、1人10プロダクト程度を担当しています。新しい技術は、当然「世の中に出る前」に出願しなければならないのですが、案件の掘り起こしからやっていると本当に時間がありません。

私たちの手が回らないという理由で新しい技術を見つけられないうちににリリースされてしまうのは非常に勿体ないので、もっとプロダクト側との連携を密にできないか、課題を感じていました。


渡邉

渡邉:他社さんが先に出願したら、グリーはその技術を使えなくなってしまいます。もちろん許諾を受ければその技術を使わせてもらうことはできますが、やはりゲーム内で使える技術の自由度は下がり、お客さまにも楽しんでいただける範囲が限定的になる、それは避けたいと考えています。

また、プロダクト側から発明になりそうなアイデアをエントリーしてもらえるような窓口は常に設けていて、過去には月20件ほどのエントリーがあった時期もありましたが、最近はあまり多くはない状況でした。人の入れ替わり、プロダクトの入れ替わりがあるので仕方ないのですが、やはり認知度が下がったかなというのは課題でした。


片貝

片貝:そうですね、私自身も、もともと他の部署(人事)にいたのですが、異動してきたときにはやはり「特許」というものに対する抵抗があって。徐々に慣れましたが、「難しそう」「わかりにくそう」というイメージだったので、他の社員も同じなのだと思います。その、「わかりにくい」イメージを払拭するために、親しみやすさを出していけるような取り組みをしていきたい、という話は以前からチーム内で話していました。

――そこで生まれたのが、パティちゃんですね!誕生秘話を教えてください。

オリジナルキャラクターのパティちゃんは、特許を勉強中の大学生。


片貝

片貝:はい(笑)。漠然とキャラクターは作りたいと思いましたが、私たちもイラストが得意なわけではないので、社内にいるデザイナーさんに相談してみました。忙しい方なので難しいかなと思いつつも、課題を相談しに行ったところ、すごく真剣に考えてくれました。イラストと文章で書いても読まれないので漫画形式で吹き出しにしよう、前編・後編にわけてポスター掲示しよう、といろいろと提案いただきました。


渡邉

渡邉:話は進んだものの、最初は上司から承認をもらえるか不安でした。内容はともかく、忙しいデザイナーさんに協力してもらって漫画を作り、さらにそれを社内に張り出したいというのですから、理解してもらえるかな、と。しかし実際は、上司にも共感してもらえて、スムーズに進めることができました。


片貝

片貝:漫画のストーリー自体は私たちが中心に考えたのですが、話の流れに沿って、変えたほうが良いところ、説明を加えたほうが良いところなど、デザイナーさんの方からも積極的にご提案いただきました。休憩時間を使って過去の資料を読み込んでくれるなど、自分事のように考えてくれました。細部までこだわる、プロ意識を感じましたね。デザイナーさんの協力があったからこそ、特許に慣れていない方の意見も取り入れた、より分かりやすい初心者向けのストーリーができ上がったと思います。

執務室のドアに貼られたポスターに、特許漫画第一話を掲出
社内ポータルサイトには、話の続きを掲載

――反響はいかがですか?


渡邉

渡邉:エントリーは増えましたし、そこから出願につなげることもできました。他のインセンティブ施策も同時に行ったので、相乗効果があったのではないかと思ってます。


片貝

片貝:プロダクトの方と話している時に、パティちゃんの続きが気になる!と言ってもらえることもあります。認知度の広がりを感じられるので、嬉しいですね。



――私も続きが気になっている一人です(笑)。


渡邉

渡邉:これまでは、社内報やデジタルサイネージを使って、登録した特許権の「報告」をしていましたが、自分の携わるプロダクトには注目しても、別のプロダクトのことはあまり気にされていなかったかなと思います。今回の取り組みでは、過去の事例を使って説明したのですが、プロダクトを超えて読んでもらえることができました。前述したように、特許権は会社が持つ権利なので、プロダクトを超えて注目し、他のプロダクトでも技術を活用いただけるのは私たちにとっても嬉しいことですね。



今後も、さまざまな施策を行って、プロダクトを守り、ゲーム開発の自由度を高められるように取り組んでいきたいと話す渡邉と片貝。陰ながらプロダクトを支える姿は、グリーの掲げるバリュー「現状に甘んじない。さらに高い目標をめざす。」を体現していると思いました。そして、50通り近くのパティちゃんのイラストを用意したデザイナーの石川からも、ものづくりに対する真剣な姿勢を感じました。



最後までお読みいただき、ありがとうございました。

本件に関するお問い合わせ先